千載一遇の雑記

千載一遇の雑記です

20代会社員、将棋アマ初段になる

社会人になってから将棋を勉強し始め、ちょうど2年くらいで将棋ウォーズ初段になることができたので振り返ってみました。

タイムライン

  • 2000年代
    • 小学高校学年の頃にルールを覚える
  • 2022年5月
    • 小学生ぶりに将棋を始める
    • このときおそらく10級くらいの実力
  • 2022年8月
    • 3級になる
  • 2022年10月
    • 2級になる
  • 2023年5月
    • 1級になる
  • 2024年4月
    • 初段になる

 

小学生

小学校高学年くらいのときに将棋の基本的なルールを覚えました。何をきっかけに覚えたかは忘れてしまいましたが、学校の図書室に入り浸っている時期があったので、そのときに本棚で見つけた本がきっかけだったかもしれません。

今から振り返ると、だいたい10級くらいの棋力だったかなと思います。当時はルールを覚えただけで戦法も囲いも何も知らないまま指していました。対局相手はもっぱら学校の友達でした。友達もルールを知っているくらいだったのであまり負けることはありませんでした。

学校の友達以外では、たまに会う自称初段の祖父にも指してもらっていました。2枚落ちで善戦はするものの負けていました。祖父とはそんなにたくさん会話をした記憶がないのですが、将棋のおかげで言葉ではないコミュニケーションができていたと思います。祖父は一回も勝たせてくれないまま、自分が中学2年のときに亡くなりました。たぶん今指したら勝てると思う。

学校に盤と駒を持っていくのはルールで禁止されていたので、授業の一環のクラブ活動の時間に指していた他、図画工作の授業で余った厚紙を使って自分で盤と駒を作って遊んでいました。その厚紙の残りでミニチュア版を作ったり、折り紙をつなげて巨大な将棋セットを作ったりしたのも楽しかったです。

中学生になると対局相手もおらず、忙しくもなったので将棋はしなくなってしまいました。

 

この頃の話はだまさんの将棋Podcast番組「将棋がしたい」のゲストに呼んでもらったときにも少し触れたような気がします。

open.spotify.com

 

(今思えば、よく「昔ちょっと遊びで将棋してました〜」くらいでゲスト出演に手を挙げたな...)

 

10級

その後、15年くらいがたった2022年5月、福岡にある廃校利活用施設の「いいかねPalette」というところに行きました。書き始めるときりがないので詳細は省きますが、元をたどるときっかけは「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」というPodcast番組です。この番組のパーソナリティの一人である樋口さんがこの施設の運営企業の代表でした。

coten.co.jp

樋口さんは将棋が大好き。自分がいいかねPaletteに行った日の夜、樋口さんが突然将棋盤と駒を手に持って、

「誰か将棋しませんか?」

と。小学生以来指していませんでしたが、緊張しながら恐る恐る手を挙げました。

 

そして、ぼこぼこにされましたw

どんな戦型だったかとかも忘れました。樋口さんの棋力は2級。勝てるわけがなかったです。

 

このときのことはいいかねPalette旅行記という形でPodcastで話しました。だいたい時系列に添いつつ、思い出した順に起きたことを話しているだけなので、聴いてもおもしろくないかもしれないですが。

open.spotify.com

 

その後、負けたことが思った以上に悔しくて将棋を始めました。もう帰りの飛行機から始めました。たしか最初にインストールしたのは「将皇」というアプリでした。飛行機の中でネットがなくてもコンピュータと指せるからです。

 

帰宅後にこんなツイートをしました。

 

そしたら不思議なことが起きました。

 

Twitter上で「タイキョクカイシ」。リプライで1手ずつ指していく、Twitter将棋が始まりました。え?なにこれ??

 

10級〜6級

最初に勉強した戦型は「矢倉」でした。最初にどんな戦型を勉強するか調べていく中で、「矢倉は将棋の純文学」「矢倉には将棋に必要なものが全て詰まっている」というのを知り、最初はここから始めようと思いました。プロ棋士居飛車採用率が高いというのもありました。

約1か月で基本的な形を覚えて、棋力は6級になっていました。

 

樋口さんと始まったTwitter将棋は、シュウさんという方が逐一盤面を可視化してくれるようになりましたw

戦型は 樋口さんの右四間飛車 vs 自分の矢倉 です。

 

6級〜4級

3級までは月に1級ずつくらい昇級していた記憶があるので、5月中に6級になり、その後7月までに4級になっていたと思います。

  • 6級: 5月
  • 5級: 6月
  • 4級: 7月

 

5級くらいのときに、戦型を変えました。

理由はいくつかありますが、

  • 相手も矢倉をしてくれないと基本の形にならない
  • 角交換の乱戦になるとどうしたらいいかわからない
  • きれいに組み上がる前に戦いが始まってしまう

など、習熟するまでうまく指すのが難しいと感じたからだったような気がします。

 

新しく選んだ戦法は「四間飛車」です。矢倉で難しいと感じていた点と対照的に、四間飛車には以下の特徴があります。

  • 相手が何をしてきても自分は基本的に同じ形にできる
  • 序盤早々に角道を止めることで角を交換されづらい
  • 飛車を振って美濃囲いさえ組めば短手数でいつもの形になる

最初は西田拓也先生の『1手ずつ解説する四間飛車』を読んで定石を覚えました。

藤森哲也先生の将棋放浪記でも最もたくさん指されている戦型で、いろいろな展開を学ぶことができました。以下は将棋放浪記の「四間飛車」編の再生リストです。2024年6月現在、170本の動画があります。これを全部見るだけでも四間飛車の基本的な形は組めるようになります。

「四間飛車」編 - YouTube

4級までは四間飛車で戦いました。

 

2022年6月22日、113手でTwitter将棋が終わりました。

実に47日かかりました。1か月半も毎日この対局のことをずっと考え続けるというのは不思議な経験でした。この間、自分の棋力は急上昇していたので、日を追うごとに少し前の自分の悪手に気づけるようになっていくのがつらかったですw

例のごとく、Podcastで感想を話しています。

open.spotify.com

 

3級

同年8月に3級になりました。

 

3級の頃、また戦法を変えました。今回は「四間飛車」から「三間飛車」です。

一番の理由は相振り飛車が苦手すぎたことです。いろいろ調べた結果、相振り飛車で一番戦いやすいのは三間飛車と言っている人が多そうだったので、戦法を変えてみました。

また、ノーマル四間飛車は基本的に待ちの姿勢でカウンターを狙うスタイルですが、三間飛車であれば自分からも動きやすいです。

 

この頃読んだ本は藤倉勇樹先生の 『美濃囲いを極める77の手筋』 です。これを読んだきっかけは、「なんで相手の美濃囲いは堅いのに、自分の美濃囲いはすぐに崩されるの??」と思ったからです。 (今でも思ってるけど)

 

2級

同年10月、2級になりました。3級までは月に1級ずつくらい昇級していましたが、はじめて2か月かかりました。

 

2級を目指していた3級の頃、以下の3冊の本を買っていました。

 

一つ目は杉本昌隆先生の 『必修!相振り戦の絶対手筋105』 です。

やっぱりどうしても相振り飛車が嫌いだったようです。これを読んだことで相振り飛車が好きになる、みたいなことはありませんでしたが、全くの未知の世界ではなくなりました。大いなる進歩です。

 

二つ目は西川和宏先生の 『1手ずつ解説する三間飛車』 です。

それまで四間飛車のときに覚えた定石と将棋放浪記で見た形を参考に、雰囲気で三間飛車を指していたので、若干昇級が停滞したのを機に、三間飛車の定石も把握しておこうと思って読みました。

 

三つ目は浦野真彦先生の 『3手詰ハンドブック』 です。

言わずと知れた有名棋書ですね。これを買うまで棋書では詰将棋をやっていませんでした。理由は二つあり、将棋クエストの詰めチャレをやっていたということと、自分の負けパターンとして、序盤や中盤で離されて終盤どころではない、という展開になりがちだったことです。

 

1級

年が明け、2023年5月に1級になりました。始めてから1級になるまでに1年かかったことになります。

 

この頃も引き続き三間飛車を指していましたが、石田流を使い始めたことで1級になれたと思っています。金や銀で飛車を詰まされるようなこともよくありますが、刺さったときの攻撃力や左桂が遊びづらいのが魅力です。

また、先手でノーマル振り飛車をしようとすると自分から先に角道を閉じる指し方になりやすいですが、そうすると相振り飛車のときに指しづらいです。また出た相振り飛車。早石田の出だしを選べば、角道を閉じることなく自然に歩を伸ばしながら駒組みをすることができます。

 

2級から1級への昇級を目指していたあたりから観ていたのが戸辺誠先生のYouTubeチャンネルです。戸辺先生は必ず振り飛車を指してくれるので参考にしやすかったです。

www.youtube.com

 

この頃に菜々河流向かい飛車という戦法を知って感動しました。後手の振り飛車で△3三角じゃなくて△4四角とする形があるなんて。見たことがない形になることも多く、自分の力量ではメインの戦法とすることはできませんでしたが、noteやYouTubeを見てすごいな〜と思っていました。

note.com

 

2023年の9月、またいいかねPaletteに行く機会がありました。そこで約1年半ぶりに樋口さんと盤を挟んで対局することができました。このときは2局指して2勝。リベンジを果たすことができました。

open.spotify.com

 

初段

そして2024年5月、初段になることができました。始めて2年、1級昇級から1年かかりました。

 

初段になるにあたり、戦法としての違いは升田式石田流を使うようになったことです。角交換されてもどう対処すればいいか把握しておくだけで、石田流を組みやすくなるかつより攻撃的な形で動けるのが魅力的な戦法です。

また、相手が四間飛車の場合は金無双急戦など、居飛車も選択するようになりました。元々、初段になったら一度居飛車を勉強しようと思っていたのもあり、たまに居飛車を指していました。

 

戦法レベルでの細かい違いもありますが、この時期一番成長を実感できたのは、井出隼平先生の 『四間飛車至上主義 実戦で学ぶ考え方』 という棋書を読んで棋譜並べをしたことです。四間飛車至上主義はめちゃくちゃ良書なので、まだ読んでいない振り飛車党の方はぜひ買ってください。

この本には、井出先生の実際の棋譜がたくさん掲載されており、その全ての対局における重要局面の解説が丁寧に書かれています。

自分は以下の方法でこの本を使いました。

  • 棋譜を見ながら並べる
  • 繰り返し並べる
  • 覚えるまで並べる
  • 覚えたら解説部分を読みながら並べる
  • 解説を噛み締めながらまた並べる

けっこう疲れるし時間もかかりますが、これをすることで中盤の混沌とした局面での判断力が上がったと思います。

 

あと昇段に一番効果的だったのは「「「健康であること」」」です。自分の場合は十分な睡眠を取れているか、心身が元気であるか、によって2階級分くらいは戦績に反映されます。初段になったタイミングは体調の波が健康な方に振れているときでした。これまじで大事。

 

また、YouTubeでなるるさんという方のゆっくり将棋実況をよく観ていました。今は無いチャンネル (近いうちに再始動される模様) なのですが、ゆっくりの漫才がおもしろくてハマっていました。これのおかげで金無双急戦や、やばボーズ流といった流行りの戦法を知ることができました。また、一回の対局が短いので、同じ動画を繰り返し観て形を覚えたりしていました。

 

やばボーズ流角交換四間飛車は棋書も買いました。刺されば驚くほど簡単に勝ちになる破壊力がすごい戦法です。

booth.pm

 

最近はそらさんの将棋実況をよく観ています。そらさんの口癖に「その瞬間がぬるいんじゃない?」というのがあるのですが、これを意識するようになってから終盤の判断力が上がった気がします。

www.youtube.com

 

初段になって以降、前々から考えていたように、居飛車を指し始めました。最終的に振り飛車をメインに使うとしても、居飛車振り飛車の両方の感覚を分かっていた方が良いと考えたからです。

戦績はひどいもので、1級の人にも普通に負けます。特に相居飛車の指し方が驚くほど分かりません。もうちょっと勉強しようと思います... 『四間飛車至上主義』 のように、棋譜並べしながら解説で勉強できる居飛車の棋書でおすすめがあれば誰か教えてください。

 

今回初段になったのを機に、Podcasterコミュニティの将棋仲間のみなさんと将棋カフェCOBINに行き、お祝いしてもらいました。ありがとうございました。COBIN、とても良い空間だったのでまた行きます。

 

おわりに

予定外に長文になってしまいました。最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。

これまでに書いた以外に全期間を通じてやっていたことと言えば、ほぼ毎日将棋ウォーズで3局対局することと、将棋クエストで10問以上詰めチャレを解くことです。

将棋ウォーズは有料会員になっていた時期も何か月かありましたが、1日の対局数の制限が無いことで、むしろ1局も対局しなくなってしまったという経験もあり、今は無料プランです。将棋ウォーズにはお世話になっているので、今以上に自分の将棋熱が上がってきたら対局数に関係なく有料会員なろうかなと考えています。

上述の通りですが、ここからは引き続き居飛車をがんばろう。

 

改めて、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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